せっかく貰ったり、買ってきたお花。どうせならきれいに長持ちさせたいですよね。
お花が枯れてしまう原因には、
- 水がうまく吸い上げられていない
- 温度・湿度が適切ではない
- 水が清潔ではない
- 栄養が不足している
などなど挙げられるかなと思います。
今回はその中でも”水がうまく吸い上げられていない”の解決法である水揚げの方法を説明していきます!
水揚げとは?
水揚げというのは、「根っこのついていない状態の花、葉、枝を水が吸い上げやすい状態にする」作業のことです。
植物は本来、根っこの力によって水を上に持ち上げて葉の蒸散の力を使って植物全体に水を行き渡らせています。ですが、切り花として出荷されている花は根っこがついていません。そうすると、水を吸い上げる力が切り花は弱くなってしまい、枯れやすくなります。
また、生産者の農家から出荷されてから市場、お店、消費者の私達まで届くまでに、茎の中に空気や細菌が入ってしまう場合があります。そうすると花は水をさらに吸いづらくなってしまいます。
そのため「水揚げ」と呼ばれる作業をして、入ってしまった空気や細菌を取り除き水を吸い上げやすくする必要があります。
水揚げ方法の種類
水揚げの方法はいくつかあります。
植物の状態、種類に合わせて臨機応変に使い分けないといけません。
実際によく使われる方法は、こちらの8個です。
- 水切り(切り)
- 湯揚げ
- 焼き
- 折り
- 割り
- 叩き
- 逆さ水
- 深水
今回はこれらの解説を上から順番にしていきます。
水切り(切り)
まず、「水切り」です。他には「切り」と呼ばれることもあります。
水切りも切りも名前の通り、切ることは一緒です。
違いは水切りは水中で切り、切りは空気中で切ります。
水揚げ作業の基本でとても簡単です。
切りの水揚げをするだけでもお花の持ちは確実に良くなるので、これだけは覚えてみてくださいね!
「切り」だけで水揚げが完了する植物もあります。
切り+他の方法で組み合わせて使うことも多いです。
水切りのやり方
それでは、具体的に水切りのやり方を解説していきます。
水中で茎を切る必要があるので、ある程度の大きさの入れ物に水を溜めます。
水を溜めたら茎の先端を水中に完全に沈めて、茎の断面から2~3cm程度カットします。
カットする茎は真っ直ぐではなく、斜めになるようにカットしましょう。
斜めにカットすることで、茎の断面が広くなって水を吸える場所が広くなります。
真っ直ぐに切るよりも水をたくさん吸い上げられるようになり、水が上がりやすくなります。
茎を切ったあとにバケツから花瓶に移すときは茎の中に空気が入らないようにすぐに移動させます。できるだけ、茎の切り口が空気に触れている時間が少なくなるようにしましょう。
水切りではなく、切りの場合は同じように茎を斜めにカットしてすぐに花瓶に入れます。
水中で切っていない分、茎の中に空気が入りやすいのでカットしてから素早く水につけるのがポイントです。
水切り(切り)で水揚げができる植物の例
水切りで水揚げができる植物を一部紹介します。
- カーネーション
- アルストロメリア
- ユリ
- ダリア
湯上げ
水切りだけでは、水が上がりにくいお花があります。
その場合は「湯揚げ」を使います。
湯上げは、お湯の力を使って花に水を吸い上げさせる方法です。
草花関係の弱そうなお花が湯揚げをよく使います。
あとは、水切りで水揚げしても水がうまく上がらない場合にも追加で湯揚げを行うことがあります。
水切りよりも水上がりの効果は高いので、お花がくたっとしていたら湯揚げしてみると良くなる場合が多いですね。
湯上げの方法
湯上げのやり方を解説します。
まずは、植物を湯揚げするための器を用意します。
器の大きさは、湯上げしたい植物の量によって変わります。
茎の切り口がしっかりと入れば器は何でも大丈夫です。
お湯を沸かしておきます。
茎の先端が少し浸かればいいので、そこまでの量はいりません。
量は使う器の大きさによりますが、小さめの計量カップくらいの大きさなら50~100ml程度あれば十分足ります。
だいたい目安としては、器にお湯を入れて2cmくらいの高さになるくらいの量があると効果が高いです。
お花に湯気が当たって傷まないように、新聞紙やチラシなどでお花を包んであげます。
包み方に特に決まりはないので、湯気が当たらないようにだけ注意しましょう。
お花を新聞紙で包んだら、下からの湯気が当たらないようにセロハンテープで下の口の部分を止めておくと、より安全です。
新聞紙で包んだら1cm程度、茎を切って切り口を新しくします。
そのあと、お湯を用意した器に入れて茎の先端をお湯につけます。
浸けておく時間は、茎の太さやお花の種類によって変わりますが、おおよそ30秒くらいを目安にしましょう。
お湯に浸け終わったら、お湯から出して水に浸けます。
水の深さは深めに5~10cmくらい浸けましょう。
水につけたら、そのまま2~3時間ほどおいて置きましょう
お花に水が上がったら、お湯につけていた茎の部分が変色しています。
変色した部分をカットします。
巻いていた新聞紙を取り、水揚げは完了です。
湯揚げで水揚げができる花の例
湯上げは、汎用性が高く色々な植物に使うことが出来ます。
具体的なお花としては以下のようなお花があります。
- ガーベラ
- マトリカリア
- アスター
なぜお湯につけるの?
お湯につけると、茎の中の茎が温められて空気が膨張します。
茎が膨張すると茎の中が真空になります。そこから水につけて一気に冷やすことで真空状態の空気が収縮します。
その収縮する力を利用して茎の中に水を吸い上げることができます。
折り
折りは、茎をボキッと折ります。
切りとの違いは、折ると断面がバサバサになりハサミで真っ直ぐ切った断面よりもお水を吸える表面積が増えます。そのため、折りの方が水を効率よく吸える場合があります。
ですが、折りはどのお花にも使える訳ではないので注意が必要です。
折ったときにパキッと折れない植物だと茎がつぶれてしまって、逆に水上がりが悪くなってしまいます。
折りで水揚げができるお花
- トルコキキョウ
- 菊
- リンドウ
焼き
焼きは切り口をバーナーなどで直接炙り、切り口を炭化させる方法です。基本的には、湯上げと原理は一緒です。茎が硬かったり、より水が上がりにくいものに対して使うことが多いです。
やり方
花や葉っぱを湯気から守るように新聞紙に包んで、切り口の部分を炭になるくらいしっかりと火を当てる。ある程度したら、すぐに水に入れて一時間ほどつけたままにして炭になったところを切り落とします。
例 バラ
割り
茎に半分もしくは十字に切り込みを入れる方法です。茎が太く、水揚げが、悪いものに使います。
やり方としては、ハサミやナタなどを使って茎に切り込みを入れます。合わせて、切り口からある程度の長さの部分の表皮をナイフで削ぎ落とします。
表皮を削ることで、その部分からも水を吸収することができるためです。
具体的には、ドウダンツツジ、アセビ、桜など
叩き
叩きは茎が固いものをハンマーなどで叩いて、茎の繊維をバラバラにして表面積を増やし、水を吸い上げやすいようにさせる方法です。
これは、茎が細すぎて割るのが難しいものに使います。基本的には、細めの枝ものなどに使うことが多いです。
例 茎が細く割れない枝もの、ストック、ヒペリカムなど
まとめ
植物を長持ちさせるには、しっかりと水を吸わせてあげることが大切です。それには、うまく吸える条件を作ってあげることが大切です。それが水揚げになります。植物ごとにしっかりと方法を選んで使い分けてあげることです!
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